Japan Open Chain、「Tokyo ハードフォーク」のテストネット移行を9月7日に実施
〜Ethereum の PoS とほぼ同一の方式へ移行し互換性を大幅に向上、バリデータ管理のオンチェーン化でガバナンスを強化。メインネットは11月実施予定〜
日本企業が共同運営する Ethereum 完全互換のパブリックブロックチェーン「Japan Open Chain(JOC)」のコンソーシアムを運営・管理する日本ブロックチェーン基盤株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:稲葉 大明、以下「当社」)は、ネットワーク創設以来最大規模のプロトコルアップグレード「Tokyo ハードフォーク」について、2026年9月7日にテストネットでのハードフォークを実施することをお知らせいたします。テストネットでの検証結果に問題がないことを確認したうえで、2026年11月にメインネットでの第1段階「The Merge」を実施する予定です。

Tokyo ハードフォークは、JOC のコンセンサスメカニズムを PoA(Proof of Authority)から PoSA(Proof-of-Stake Authority)へ全面移行するアップグレードです。PoSA は、Ethereum メインネットと構造的に同一の PoS(Proof of Stake)コンセンサスレイヤーと、バリデータの参加をコンソーシアムが管理するオーソリティレイヤーを組み合わせたモデルです。
本アップグレードによる意義は、大きく次の2点です。第一に、JOC のコンセンサス方式が Ethereum の PoS とほぼ同一となり、Ethereum エコシステムとの互換性が大幅に向上します。第二に、バリデータの管理がスマートコントラクトによってオンチェーン化され、ネットワークのガバナンスの透明性と検証可能性が大きく強化されます。
本アップグレードにおいて、既存のチェーンデータおよびトランザクション履歴はすべて維持され、Chain ID(84)も変更されません。RPC エンドポイント経由で JOC をご利用の DApps・サービス・ウォレット、および一般利用者の皆さまに必要なご対応はありません。一方、ブートノードから直接同期して独自にノードを運用されている場合は、事前のお手続きが必要となります(詳細は後述)。
◽️ 背景
JOC はネットワーク立ち上げ当初より、信頼性の高い国内企業による厳格な合意形成を実現する PoA 方式を採用し、安定したブロックチェーン基盤を提供してまいりました。一方で、ネットワークの成熟とエコシステムの拡大に伴い、現行の PoA モデルには以下の課題が生じていました。
- 新規バリデータの承認がクライアントソフトウェア上の仕組みに依存しており、オンチェーンでの透明な管理・監査が困難であること
- Ethereum が PoS へ移行しており、その後のプロトコル進化に追随しにくいこと
- 経済的インセンティブに基づく、標準的なバリデータ運用体制を実現できないこと
2026年に入り、ステーブルコインや証券トークンをはじめとする金融領域でのブロックチェーン活用が本格化するなか、こうした用途には高頻度かつ高信頼性のネットワーク運用と、長期にわたる透明なガバナンスが不可欠です。当社は、Ethereum が2022年に完了した「The Merge」と同じアップグレードパスに沿って PoSA へ移行することで、これらの課題を根本的に解決し、次世代の金融インフラとしての基盤を整えます。
◽️ Tokyo ハードフォークの特徴
1. Ethereum の PoS とほぼ同一の方式となり、互換性が大幅に向上
Tokyo ハードフォークにより、JOC のコンセンサス方式は Ethereum メインネットが2022年の「The Merge」以降採用している PoS とほぼ同一の仕様となります。JOC は従来より Ethereum 完全互換(EVM 互換)のチェーンとして、スマートコントラクトやウォレットの互換性を提供してまいりましたが、本アップグレードにより、アプリケーション層だけでなくコンセンサス層においても Ethereum と同じ仕様を共有することになります。
これにより、次のような効果が見込まれます。
- Ethereum エコシステムで標準的に使われるノード実装、開発ツール、監視・監査ツールをそのまま利用できるようになります。JOC のバリデータノードは、Ethereum と同じく Execution Client(Geth)と Consensus Client(Lighthouse 等)の組み合わせで構成されます。
- Ethereum のバリデータ運用ノウハウや人材、運用ツールをそのまま転用できるため、バリデータとして参加する企業の運用負荷と学習コストが大幅に低減されます。
- 仕様が Ethereum とほぼ同一となることで、今後の Ethereum のプロトコルアップグレードにも迅速に追随できる体制となります。JOC は Tokyo ハードフォークにおいて、Ethereum がたどったのと同じ Shapella・Dencun・Pectra の各アップグレードを順次適用します。
日本発のパブリックチェーンとして、世界最大の開発者コミュニティを持つ Ethereum の技術進化を継続的に取り込める構造を確立することは、長期にわたって利用される金融インフラを目指すうえで不可欠な基盤となります。
2. バリデータのスマートコントラクト管理による、オンチェーンガバナンスの強化
現行の PoA では、ブロックを生成できるバリデータの一覧はクライアントソフトウェアの設定として管理されており、その追加・削除はソフトウェア上の手続きに依存していました。Tokyo ハードフォーク後は、この管理がスマートコントラクトによってオンチェーンで実行されます。
- バリデータの登録・追加・強制排除は、コンソーシアムオーナーがマルチシグウォレットを通じてコントラクトを呼び出すことで実行され、そのすべてがトランザクションとしてチェーン上に記録されます。
- ステークの預け入れと報酬の分配・引き出しもコントラクトを介して処理されるため、誰がバリデータであり、どのような経緯で参加・退出したのかを、第三者が誰でもオンチェーンで検証できます。
- 運営主体の判断が及ぶ範囲と、プロトコルが自動的に実行する範囲が明確に分離されます。義務の不履行に対する Penalty(報酬控除)、二重署名など証明可能な悪意ある行為に対する Slashing(ステーク元本の一部バーン) は、いずれも運営主体の介在なくプロトコルレベルで自動的に適用されます。
企業が共同運営するコンソーシアム型のチェーンにおいて、運営の透明性をどう担保するかは、長期利用を検討する事業者にとって重要な論点です。Tokyo ハードフォークは、ネットワーク運営の根幹であるバリデータ管理をオンチェーンの検証可能な仕組みへ移すことで、この課題に正面から応えるものです。
3. 経済的インセンティブに基づくバリデータ運用
バリデータは32 JOC のステークを伴って登録され、ブロックの提案(Block Proposal)とアテステーション(Attestation)という2つの役割を果たすことで報酬を獲得します。ネットワークの安定稼働に対して経済的な動機付けが働く、標準的な PoS の運用体制へと移行します。
4. 4つのフェーズによる段階的な実施
ダウンタイムを発生させないよう、新しいコンセンサスレイヤー(ビーコンチェーン)を既存ネットワークと並行稼働させたうえで、Ethereum がたどったのと同じ4つのフェーズに分けて段階的に移行します。
| フェーズ | 名称 | 主な変更内容 |
|---|---|---|
| Phase 1 | The Merge | PoA の停止、PoS によるブロック生成の開始 |
| Phase 2 | Shanghai-Capella(Shapella) | ステーキング報酬の引き出しが可能に |
| Phase 3 | Cancun-Deneb(Dencun) | ネットワークスループットの最適化 |
| Phase 4 | Prague-Electra(Pectra) | バリデータ管理の高度化・強制排除の実装 |
◽️ 実施スケジュール
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年9月7日 | テストネットでのハードフォーク実施(全4フェーズの検証) |
| 2026年9月〜10月 | バリデータ各社によるノード移行作業 |
| 2026年11月(予定) | メインネット Phase 1「The Merge」 |
| 2026年12月(予定) | メインネット Phase 2「Shapella」 |
| 2027年1月(予定) | メインネット Phase 3「Dencun」 |
| 2027年2月(予定) | メインネット Phase 4「Pectra」 |
テストネットでは、本番と同等の検証環境を構築し、4つのフェーズすべてを本番と同一の手順で適用して動作を確認します。メインネットの実施日程は、テストネットでの検証結果を踏まえて最終決定いたします。なお、メインネットでの実施日は現時点では確定しておらず、詳細が決まり次第、実施の2週間程度前を目途に改めてお知らせいたします。
◽️ JOCを使用中の皆さまへ
本ハードフォークにおいて、RPC エンドポイント、Chain ID(84)、コントラクトアドレス、トランザクション履歴はいずれも変更・消失することなく維持されます。ご利用形態によって必要な対応が異なりますので、下記をご確認ください。
■ RPC エンドポイント経由でご利用の場合 ─ ご対応は不要です
JOC が提供する RPC エンドポイントを通じて接続している DApps、サービス、ウォレットについては、ハードフォークの前後で必要なご対応はありません。これまでと同じエンドポイント・同じ方法でそのままご利用いただけます。
■ ブートノードから直接同期して独自ノードを運用されている場合 ─ 事前のお手続きが必要です
自社でノードを構築し、ブートノードを経由してネットワークへ直接同期している場合は、事前のお手続きとノード構成の変更が必要です。PoSA への移行に伴い、これまでの Execution Client(Geth)単独の構成に加えて、新たに Consensus Client を稼働させる必要があるためです。
期限までにご対応いただけない場合、当該ノードはハードフォーク後に新しいブロックを受信できなくなり、ネットワークとの同期を失います。その結果、当該ノードへ接続しているアプリケーションやウォレットが最新のブロック情報やトランザクションを取得できなくなり、サービスに影響が生じます。
該当されるパートナー各社様には、必要なお手続きと移行手順を個別にご案内いたします。お心当たりのある事業者様は、2026年9月中を目途に下記のお問い合わせ窓口までご連絡ください。
技術ドキュメント:https://www.japanopenchain.org/docs/developer/connect-joc/mainnet/
◽️ 今後の展望
Tokyo ハードフォーク(JOC v2)の完了後、当社は次のアップグレードである「Osaka ハードフォーク(JOC v3)」に着手する予定です。Osaka ハードフォークでは、21社のコアバリデータに加えて最大500社のスタンダードバリデータが参加できる多層バリデータ構想を導入し、国内外からの参加によってネットワークの分散性と耐障害性をさらに高めてまいります。主要な議決に参加できるコアバリデータを日本企業に限ることで、日本がもつ政治的・経済的な安定性は引き続きチェーンのガバナンスに寄与します。
当社は今後も、法制度と技術革新の両輪により、企業・金融機関・自治体が安心して利用できる次世代デジタル金融インフラの構築を推進してまいります。
◽️ 参考
『PoSA(Proof-of-Stake Authority)』について
PoSA は、Ethereum の The Merge 以降と構造的に同一の PoS コンセンサスレイヤーと、誰がバリデータになれるかを制御するコンソーシアム管理のオーソリティレイヤーを組み合わせたコンセンサスモデルです。パブリックチェーンとしての透明性・検証可能性を保ちながら、ネットワーク運営の主体を信頼できる企業群に限定できる点が特徴です。JOC では、バリデータの登録とステークの預け入れをコンソーシアムオーナーが担い、当初は当社がその運営にあたります。
『Japan Open Chain』について
「Japan Open Chain」は日本企業が運営する実用性を重視した Ethereum 完全互換(レイヤー1)のパブリックチェーンです。業界をリードする大手企業や web3 事業者と共に、世界中のどなたでも安心かつ高速・安価に利用できるブロックチェーンインフラを構築しています。同時に、銀行によるステーブルコイン・プロジェクトや NFT などの資産のデジタル化を通じた未来の金融インフラの構築を通じて、世界中にデジタル金融革命を起こすことを目的としたプロジェクトです。
バリデータ(ブロックチェーン運営パートナー)は現在、株式会社電通、株式会社 insprout、株式会社 Kudasai、ピクシブ株式会社、京都芸術大学、株式会社はてな、株式会社シーエーシー、株式会社サイバーリンクス、G.U.テクノロジーズ株式会社、等が参画しており、分散的にブロックチェーンが管理され最終的には21社となる予定です。
◽️ 日本ブロックチェーン基盤株式会社について
日本ブロックチェーン基盤株式会社は、信頼ある日本企業が日本法に準拠して共同運営するエンタープライズ向けパブリックブロックチェーン「Japan Open Chain」のコンソーシアムを運営・管理しています。ガバナンス設計と法令遵守を重視した基盤整備を通じて、金融機関をはじめとする企業や自治体によるステーブルコインやトークン活用など、次世代金融インフラの社会実装を推進しています。
【会社概要】
会社名 :日本ブロックチェーン基盤株式会社
所在地 :東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー15F
代表者 :代表取締役 稲葉 大明
設立 :2018年4月
URL :https://www.jbfd.org/
事業概要:web3 インフラの運営・管理事業
◽️ 本件に関するお問い合わせ
取材・講演依頼など歓迎しております。お気軽にご相談ください。
日本ブロックチェーン基盤株式会社・広報
お問い合わせフォーム:https://www.japanopenchain.org/contact
※本プレスリリース内の画像、ロゴにつきましては、本リリースに関する転載においてのみお使いいただけます。



